今朝NHKの「あさイチ」で「スピリチュアルをネタにした悪徳商法」について放送されました。
今後同じような悪徳商法の被害者が増えないよう、私なりに詳しく今回の悪徳商法の手口を解説します。
ちなみに、放送の中で「カウンセリング」が悪い印象にされて、カウンセラーの私はプチお怒りです。
(実はこの記事を書く動機はそこだったり(笑))
被害者Aさんの話
まずはAさんの被害の詳細をおさらいしましょう。
「あさイチ」を見たなら、ここは飛ばしてください。
Aさんはスピリチュアルについて全く興味がなかったそうです。
そんなAさんがスピリチュアルに触れたきっかけは、夫のリストラと事故。
悪いことが続けて起きたことで、スピリチュアルの雑誌を手に取り、半信半疑で雑誌の広告にあった1万円のブレスレットを購入。
届いたブレスレットには「間違った使い方をすると効果がありません。正しい使い方を教えるので必ず電話ください」と書かれた手紙がありました。
Aさんは電話し、広告に載っていた写真の男性と会話。
「心霊カウンセリング」を1時間半うけたところで、男性が「無料で霊視します」と写真を要求。
Aさんが写真を送ると男性から電話がかかってきて「霊がついています。このままでは足首を切断することになりますよ。5年前と7年前に何か思い当たることはありませんか? 90万円で霊を撃退します」と言いました。
Aさんは「やはりこうきたか」と思い、断って電話を切るものの、その夜「そういえば5年前に足が原因不明で腫れた…」と思い当たることがあり、夫に内緒で男性に90万円を払い、依頼してしまいました。
その後も男性は霊退治と言ってAさんから300万円以上を取り、祈とうなどをしたそうです。
貯金のなくなったAさんが実家に借金の相談をしたところで事態は発覚。
それ以上の被害にはならなかったとのこと。
これがAさんの被害内容でした。
それにしても、300万円は大きいですね…。私の貯金でも足りません(汗)
あさイチで解説された悪徳商法の手口
あさイチで解説されていたのは、主に心理的なことでした。
例えば、男性が「5年前と7年前に思い当たることは?」と訊いたのは、その年にAさんが結婚と出産をしたからです。
結婚と出産は女性にとって過敏になる時期ですから、何か思い当たることがあっても不思議じゃないそうで。
霊視カウンセリングと言って情報収集をされたため、男性がその具体的な年を言うことは簡単でした。
他にも、夫に内緒で最初に90万円を払ってしまったため、これ以上は失敗できない、隠したい、という思いがあり、Aさんはどんどん祈とうなどを頼んでしまった、とスタジオにいた専門家の山口貴士さんは言っていました。
ここでカウンセラーの私が言いたいことは、カウンセリングは本来、情報収集のためでもなければ、人を不安にあおるものでもない、ということ。
ちゃんとした資格を持たない人のカウンセリングに期待しちゃいけません。
カウンセラーは資格がなくても自由に名乗れるため、まるっきり素人でも「カウンセリングします」と言って実行できちゃいます(もちろん効果は小さいです)。
本来のカウンセリングは、クライエント(相談者)の自立を補助するもの。
もし、あなたが悩んだら、本物のカウンセラーのカウンセリングを受けることをおすすめします。
今回の悪徳商法の手口を徹底解説
あさイチでは、主に心理的な部分が解説されていました。
なので、私はそれ以外の仕組みについて解説します。しっかり用心しましょう。
雑誌の広告を信じてはいけない
まず、Aさんが見た雑誌のブレスレットの広告。
1ページまるまる使ってドーンと出ているので印象に残ります。
好きな雑誌に載っている広告だと信用しがちですが、雑誌の発行会社が広告の商品について、1個1個中身を確認しているわけではありません。
お金さえ払えば誰だって広告を出せます。こんなふうに。
その雑誌を信用しても、広告まで信用してはいけません。
(もちろん中には良い広告もあります)
電話やメールをしてはいけない
Aさんのもとに届いたブレスレットには「使い方を間違えるといけないので電話してください」と注意書きが入っていました。
私だったら「いやいやいや、取扱説明書を入れておいてよ!」とツッコミたくなりますが…。
そもそも本当に売れている人気商品なら、一人ひとりに口頭で説明するなんて販売者の手間がかかりすぎます。
たくさんの人を雇ったとしても、そんな人件費をかけるよりは使い方の動画を撮ってYouTubeにでも載せておけば、タダで済む話です。
なのに、わざわざ説明しにくい電話という手段を取る理由は、業者が購入者の電話番号を得るため。
メールの場合もメールアドレスを得るためです。
購入者の連絡先を得て信頼関係を作り、商品を紹介する。
これは真っ当な企業もやっている手法ですが、悪徳業者は「脅し」が含まれるので、たちが悪いです。
真っ当な企業の例:
ピザ屋が一度でも買ったことのある人へピザのチラシを送る。クーポンを付けて、注文を促す。
悪徳業者の例:
電話をかけてもらって親身になって話を聞く。脅して商品を買わせる。
脅しに屈しない
「恐怖」は思考を鈍らせる効果的な武器です。
Aさんは「足を切断することになりますよ…」と脅され、恐怖を植え付けられました。
また、その恐怖から5年前と7年前のことを思い出そうとしてしまいます。
結婚と出産の年なら、思い当たることはたくさんありそうですね。
私も最近は運動不足のせいか足首が痛いですし…(汗)
脅して、判断を鈍らせて、信じこませる。
これはもう決まりパターンです。
格闘ゲームのコンボと同じです。相手の初手をガードすれば、簡単に防げます。
高額商品を疑え
霊撃退に90万円なんて高すぎますよね。
普通の人なら「そんなの払うわけないやろー」と笑い飛ばせます。
が、Aさんは恐怖に蝕まれています。
人間、お金よりも足首のほうが大事ですから、高いと分かっていても払ってしまうのです。
とりあえず、10万円を超える「見えない商品」は片っ端から疑いましょう。
「高ければ効果がある」
この先入観から抜け出すことが大事です。
(最初のブレスレットも同じ)
まとめ
悪徳業者に引っかからないためのまとめです。
- 雑誌の広告を信じてはいけない
- 電話やメールをしてはいけない
- 脅しに屈しない
- 高額商品を疑え
ちなみに、販売者からすれば最初のブレスレットはたった1円でも売りたいです。
そうすれば、購入者の電話番号が手に入りますから。
でも、それをしないのは「安すぎると効果がないのでは?」と疑われるから。
高くしたほうが効果があると思われて、逆に売れやすい。
だから、ああいう胡散臭いブレスレットは無駄に高いのです。
スピリチュアルに興味があるなら、お気をつけくださいまし。
(しかし、スピリチュアル界も悪徳業者のせいで迷惑しますね…)