本来はやさしい言葉であったはずの「してあげる」が、いつの間にか「上から目線だ」「見下してる」とマイナスな意味で使われるようになって悲しい私です。
私が「してあげる」の使い方について、はじめて違和感に気付いたのは2010年の前半ごろ。お昼の料理番組を見たときです。
女性の料理研究家が手順を説明するときに放った、
「ここでフライパンのたまごに水を加えてあげます」
ぞわ……。
言葉は移り変わるもの。適応しなきゃいけないよね。
と思いつつ、なかなか慣れないライター歴15年のぼやき。日本語について語る第1回を始めます!
本来の「してあげる」には軽い敬意が含まれる
「棚の荷物、取ってあげるね!」などに使われる「~してあげる」の「あげる」には、本来は「上から目線」や「人を見下す」の意味はありません。
Macに収録された「スーパー大辞林」(国語辞典)から引用します。
あ・げる
補助動詞動詞の連用形に接続助詞「て」の付いた形に付き,主語で表されるサービスの送り手が,他人のためにすることを,送り手の側から表す。(普通は仮名書き)《上》「友達に本を貸して―げた」「お宅まで送って―げましょう」〔「…てやる」と異なり,受け手に対する軽い敬意がこめられている。目上に対しては「さしあげる」を用いるのが一般的〕
ということで、本来の「~してあげる」は人様に対して敬意をこめる言い方です。
なのに「なに上から目線で言っとんじゃ、ああん?」なんて言われた日には、こちらとしては「ええっ」と面食らうわけです。
知らないうちに言葉の意味を変えるのやめてよ~(汗) とも思います。
「~してやる」なら上から目線に受け取られても仕方ないですけど!
もしかしたら、こんな会話を聞く日がくるのでしょうか……。
「今日は鈴木くんが休みだから、家が近い人はこのプリントを届けてあげてね!」
「せんせー、上から目線はよくないとおもいまーす」
「……鈴木くんにプリントを届けてさしあげてね」
ぐはあッ!(気持ち悪さに悶絶)
なぜ「してあげる」は「上から目線」と思われるようになったのか
「してあげる、ってやさしい言葉だよね?」
「上から目線じゃないよね!?」
と戸惑う人がよくこのページに来るようです。ふふふ、私と同じ戸惑いっぷりですね( ̄ー ̄)
ご安心を。本来の意味はあなたの理解どおり、やさしい言葉です^^
じゃあ、なぜ本来とは逆の意味である「上から目線」に思われたのでしょう??
私は日本語の研究家ではないので「これが正解だ!」とは言えませんが、世の中を眺めたらこんな流れで意味が変化したように感じます。
「してあげる」は敬意をこめた言い方
↓
やさしい・丁寧な言葉として多くの人が使っていた
↓
敬う以外に、子どもや小動物にも使う人が現れた
↓
力の弱いものに対して使うイメージがつき始めた
↓
上から目線・見下すイメージになってしまった!
という感じだと思うのですが、同じ時代を生きたあなたから見て、いかがでしょう?
裏付けや正しい変化の流れは、日本語研究家や大学教授のような頭の良い方にお任せします。
「あげる」は色んな意味をもつ
冒頭の料理研究家の話に戻りますと。
「たまごに水を加えてあげます」
私はこの言葉を聞いたとき、「な、なぬ……この人はたまごに敬意を!?」と思っちゃったわけです。
それほど自分の立場を下に置かなくても……と考えさせられる言葉でした。
しかし、この件については私が間違っている可能性アリです。「あげる」にはこんな意味もあります。
あ・げる
「与える」「やる」の丁寧な言い方。《上》「この本,あなたに―げます」「ほうびを―げる」「子供におやつを―げる」「鳥にえさを―げる」
「スーパー大辞林」から引用
つまり、料理研究家は「たまごに水を加えてやります」の丁寧な言い方をしただけなのでしょう。
よかった、たまごより身分が低い料理研究家なんていなかったんだ!
……しかし、「あげる」の別の意味を見ると。
あ・げる
「与える」の謙譲語。「プレゼントを―げる」
謙譲語なら相手より自分を下げて言う言い方だから……んん!? どっちだ!?
料理研究家の謎は深まりました。
(さらに数年前は「加えてあげます」や「加えてやります」ではなく、単に「加えます」と言ってましたよね?)
日本語ムズカシイネ
余談ですが、私の愛用するMacBook Airに収録された「スーパー大辞林」には、「あげる」の意味が全部で25もありました。
いや、多いよ!
これなら受け取る側は勘違いしちゃうよー!(汗)
とりあえず、「してあげる」には基本的に敬意がこもっているものと思って、言う側も言われる側もほっこりしながら会話するのはどうでしょう?
敬意がケンカの種になるなんて悲しいですもんねっ。
ということで、ライターの私が気になる日本語について語る第1回は「してあげる」でした。
本来の意味を知ってホッとしたら、この記事を他の人に”教えてあげて”ね!
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