「お友達価格(割引)でやってくれませんかね?」「無料でくださいよ」
あなたは個人事業主を相手にこんな言葉を言ったことがありますか?
例えば、エアコン掃除の仕事をしている人にエアコン掃除を依頼するとき。
例えば、サイト作成の仕事をしている人にサイト作成を依頼するとき。
もし言ったことがあるなら、今後は言わないようにしましょう。言った瞬間に、あなたは仕事の面で相手にされなくなります。今回はそんな大人なお話。
※あなたが会社勤めの経験しかないと理解しにくい内容です。頭をやわらかくしてお読みください。
私が「タダでくださいよ」を断った理由は?
先日、ある場所で私はこんな言葉をもらいました。
「それ、横流し(無償提供)してくれませんかね?」
「それ」とは、私がいま執筆している教材です。私の答えはもちろん「いいえ」。なぜだか分かりますか?
わからなければ、以下のヒントを参考にお考えください。
- 私の教材は8ヶ月前からコツコツと執筆してきたもの
- 今後有料で販売予定
- 無償提供を提案した人は初めて会った人
無償提供を断った理由、「初めて会った人から提案されたから」だと思いますか?
それは違います。初めて会った人でも無償提供を検討することはあります。
では、正解発表!
私が提案を断った理由は、「無償提供を提案した人が自分のことしか考えていなかったから」です。
「タダでほしいからタダでくれ」という言い分だったので、お断りしました。
これ、会社勤めの経験しかないと理解しにくいです。「できるならやってあげればいいじゃーん」なんて思いがち。
サラリーマンやOLは会社からお金をもらえるため、社内で人の仕事を手伝うことは当たり前ですね。「ちょっとこっち手伝ってよー」「いいよー」のやり取りが自然です。私もサラリーマン時代はやってました。
しかし、個人事業となると話は変わります。個人事業主は、自分で商品を作ったり、サービスを売ったりしないと収入になりません。割引した分だけ生活に困りますから、原則として「無償提供・割引」はしません。
あなたも「無償提供1件につき、明日のごはんが一食減る」という条件なら、割引や無償提供をしようとは思わないのでは? わかりやすく極端な条件を言いましたが、個人事業主はそのくらい真剣に自分の商品やサービスの販売について考えています。無償提供や割引はホイホイと気軽にできるものではありません。
この「意識の違い」を理解できたら、ここから先もお読みください。
「タダでください=無価値」という意味なのです
明日のごはんが減るほどの威力をもつ「無償(割引)提供」。個人事業主にとっては死活問題です。
さらに個人事業主にとって「タダでください」の言葉は「あなたの商品に価値はない」という意味も含まれます。だって、タダなんだから。お金を払う気が起きないってことでしょ。うわーん(泣) …こんな気分です。
私が8ヶ月かけてコツコツがんばって作った教材も「価値ないっすね」と言われたことと同じです。ショックを受けた上に、ひどいことを言う人のために明日のごはんを減らそうとは思いません。
そんなわけで、「それ、横流し(無償提供)してくれませんかね?」の答えは「いいえ」でした。
個人事業主を相手に無償提供を引き出す方法
個人事業主に限らず、人とお付き合いするとき、お互いに利益があるとスムーズに話が進みます。
私も提案次第では「タダでくださいよ」「いいよ!」となりました。私にも何かお得なことがあれば良いのです。
では、あなたなら私にどんな提案をしますか?
例えば、「自分はあなたにこんなことができます。その代わりに割引(または無償)で提供してくれませんか?」という提案ならバッチグーでした。これなら問題ありません。ちゃんと相手のことも考えた「交渉」ですから。
あなたが実践できるよう、交渉の具体例も挙げます。
「私がフェイスブックに何か書けば、必ず100以上の『いいね!』がつくほど影響力があります。そんなアカウントであなたのサイト作成について感想を書いて紹介しますから、ちょっとお安くやってくれませんか?」
こんな具合に提案すれば、相手にも利益が伝わります。相手にとっては新しい仕事の依頼が増えることに繋がるためです。
より高い確率で「無償提供するよ!」「割引するよ!」と言ってもらうためには、あなたがどれだけ相手の利益になることをできるか、を具体的に伝えることです。具体的に伝われば、相手も「明日のごはんを1食減らしても、2食分になって返ってくるな…」と計算しやすくなって、OKしやすくなります。
「お金は汚い」という社会の洗脳から覚めることができますか?
さいごに。
先ほど「こういうふうに交渉すればOK!」と提案の仕方を言いました。でも、こうした提案について「えー、友達なのに損得の話を出すなんて」とか「そこまでカネカネ言うヤツとは付き合いたくない」とか思うなら、まだまだ個人事業主にとってお友達価格や無償提供がどれほど身を削るものなのかを理解できていない段階です。
でも、理解できないのも仕方ないかも、とも思います。
私たちは子どもの頃から「お金は汚いもの」「なんでも安く引き受けることが素晴らしいこと」と育ちました。なんだか立派な考え方に感じますよね。
…私はこの「立派(に見える)な考え方」から卒業するのに数年の時間が必要でした。
なぜ卒業する必要があったのか? それは、個人事業主でこの考え方のままだと身を滅ぼすからです。(サラリーマンでも身を滅ぼすかも)
この「立派(に見える)考え方」と明日のごはんを比べたとき、果たしてどちらが大事でしょうか。この問題を真剣に考えられるのは、個人事業主の立場にならないと難しいのかもしれません。
お友達価格や無償提供をすればするほど、明日のごはんばかりか、あさってのごはんが無くなり、果てはケータイやパソコンを使えなくなったり、電気・ガス・水道・家賃も払えなくなったり…と、今の生活を維持することができなくなります。
自分の生活を壊してまでお友達価格や無償提供できる人を私は見たことがありません。実行できれば美談として讃えられるでしょうけども。
そうした美談を取るよりは、自分の生活の基盤を整え、より多くの人に喜ばれる商品やサービスを提供し、余ったお金で寄付するなり、大家族になって少子化対策するなり、お金をたくさん使って日本経済に貢献するなりしたほうが大人としては正しいのかな、と私は思います。
なんだか話が脱線気味ですね。話を戻します。
まとめると個人事業主にとってお友達価格や無償提供は、以下の短所しかないため嫌な顔しかできないのです。
- 無償(割引)提供するたびに明日のごはんを削る必要がある
- がんばって作った商品やサービスを「そこまで価値がない、無価値」だと言われていることと同じ
相手の価値を見極めて、よいお付き合いを!
個人事業主を相手に「あなたのそれがタダでほしい。タダでくれ」がどれほどダメなのか理解していただければ幸いです。
あなたが今後知り合いにお友達価格や無償提供を提案した時点で、今後仕事の話は一切できなくなる(相手にされなくなる)のでお気をつけて。お友達価格や無償提供は、基本的に提供側から言い出すものです。
それでもお友達価格や無償提供してほしいなら、あなたから「焼肉ごちそうするからエアコン掃除してよー」のような交渉をすれば、相手に嫌な顔はされにくいです。うまく提案してみてください^^